#月かがみ。〜希望見出す SpecialSTORYteller、月見の心の処方箋#創作サイト

私が描くは良き未来の道行を、選ぶための光の創作。心と言う羅針盤をただしく目的地に設定し続けるためにご利用下さい。

#novel#創作小説#隠せぬ子供の悔しい僕らは視線を交わそう。他

●良い子のお約束(注意)

転用、引用は、ご遠慮願います。

あくまでも、作品は作者月見に属しています

今宵話したい気分?

#隠せぬ子供の悔しい僕らは視線を交わそう。

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side A

 

高校は、推薦枠で入学するのだと学校中が、思っていた、椎堂は、推薦を蹴り国立高校を選ぶと聞いたら、つい、奴の体を揺さぶり倒して拝み倒してでも、俺にそれくれよ、と言いたかった。

 

他の、レギュラーメンバーの角田が

つかみかかっていたから、

冷静に、キャプテンとして、止めなきゃならないなと、二人を引き離す間に、

激しい気持ちは、出す激しさを窄ませて。

 

もやもやを残したままだが。

あの時の角田がいなかったら、

俺がもし掴みかかっていたら、さて。

 

今がいいか、しなかった未来が良いのか、

分からない、だけど。

悔しくてかなしくて、だ。 

 

狭い部室の匂いすら忘れてしまうくらいに、

奴の声と蝉の声だけがして。

揺すられ強い声を浴びせられても無言を貫いた、空気。

 

何言うも届かないそんな、態度の人への

声は、やがて消えて。静まるほど居た堪れないから、か。

怒りを現した側から立ち去り最後に、

俺と椎堂。

先に出るかとした時に呼びかけられた。

 

キャプテン、と。

『したい、だけど、出来ないのって悪ですか?俺が、悪いことですか?』

 

『いいや。出来ない理由が、あるんだろう?』

 

『実はもう、働き始めるために、学校、前から辞めようとしてたんです。』

 

担任の江島先生から卒業までは、と言われて、それまで、楽しもうとした結果欲しかった推薦枠の話がきたけれど。

 

一部学費免除、では。

そして、必要なお金は。彼の、家族のためだから。

 

夏、楽しかった。

1番良い結果が出た、大会結果は学校を有名にするくらい、だったから。

活躍した何人かに、推薦があり。

受ける奴がいて、俺みたいに何のお呼びもなく、塾通いして、受験生に、なる。

 

その2択だとおもっていたのに。

冬が近い、今。

息白く喋る椎堂の、夏の顔と今の顔が別人のよう。

 

まるで電車で乗り合わせたサラリーマンみたいな、仕事で疲れ切った親に似た。

もう、すでに、大人な顔で。

 

少しだけ。

部活の話をした、時と

推薦を蹴った話の時だけに、わずかに滲んだ、食いしばる歯が、ぎりと音を立てた時だけが、俺の知っている、椎堂だった。

 

神様が、いるならと、最後に彼は。

『まさか掴めそうになる時にできない状況にして、梯子外ししするなんて、酷いですよね』

と笑って見せた。

 

 

悔しいくせに。

皆んなには、意地でも見せないつもり、らしく。時に泣いて見えるその顔はずっと、笑顔を張り付けたままにして、俺より先に出ると部室を出ていった。

 

 

寒いからか。

椎堂、俺の方が泣きたいよ。

 

説明したら、悔しいと泣き喚くなら、

角田は、きっとあんなにがむしゃらにお前に掴みかかって、といつめようとはしなかっただろうし。

 

キャプテンとは言え、椎堂の、お前の生活が傾いてきて、それを必死に普通なふうに装っていたのか。

それは、いつからだったのか。

 

そして、

弱音すら吐いて貰えない自分にがっかりするとともに、誰か。

話せる人が、いて欲しいと思って。

 

思いついて、副キャプテンの、八代にへ電話を掛ける。

(なんだよ、今彼女と、いるんだって言っておいたじゃん、芳我)

 

『おまえ、真っ先に部室出たけど、知ってたか?』

(ああ、奴はお前にはいい難いって言ってたよ。1番喜んでくれたからって)

 

『知らんかったん俺だけか?顧問のタッキーは知ってたんだろう?』

 

(多分部内なら、俺と先生だけだって。先生の提案から、俺に事情言って。で俺は芳我に言ったらと何度か勧めたんだが。)

 

また、後でと。

電話が向こうから切れた。

 

部員みんな、チームで使うSNSで。

19時によっちゃんの店で、と。

行きつけお好み焼き屋が書いてあり。

先生も、来るからと、書き添えてある。

 

 

悔しいが。

とりあえず戸締りして、部室の鍵を閉めて。

よっちゃん行くまで、河原でランニング、しよ。と独りごちたら。

 

『ヨーヘイさんは?』

 

下の名前で呼んで、躊躇わず背中を追いかける、後輩は。椎堂は、数分前に出たことを伝えると、走り去る。

 

多分、励まされろ、

泣けよ、と。

やっぱり、人に追いからるくらいの彼に少し悔しく腹が立って。

湿った気分が落ち着いたから。

 

とりあえず、本当に。

走りに行く。そして。走り疲れたら、よっちゃん行く。

キャプテンとして、話を聞く。

 

それからだ。

 

 

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side B

 

よっちゃんの、店の中は。

仕事終わりのおっちゃんで賑わって、いつも酒と大声でいっぱいだったけれど。

 

俺らが、打ち上げする、作戦会議するときは決まってお店の2階、おっちゃんやおばちゃんの住まいの方に通された。

 

そして、今日も。

メガネが曇るタッキーと、芳我がいて。

芳賀は後から来た俺に口を尖らせて、

いかにも、不満気に時間すぎてると言った。

いつも通りの顔だから笑えてまた、怒る芳我を真ん中にして。のれんの隣の勝手口から、おっちゃんを呼ぶと、オレンジジュース瓶3本片手に顎をしゃくる仕草。

サービスだ、と。

 

 

すでにあったおしぼりで、顔を拭きながら。

タッキーが、今の椎堂の話を手短に、淡々と話す。

だんだん、湯気の向こうで、眉を吊り上げていく芳我を見ながら、飲むオレンジジュースは減らない。

 

まるで材料を説明するだけに留めた、タッキーの声はお経みたいに、そして、湯気やヒーターの熱にさらされ眠気が来て、

人の声が、大きくなり、小さくなる波のなかで。

 

『それ酷すぎじゃん!!』

 

我慢し切れなくなり叩いた拳がちゃぶ台をたんと揺らし、ジュースが自分の指先に流れて、二人の顔を見たら。

 

俺そっち抜けで、椎堂いないのに、

酔っ払いみたいに怒って泣いていて。

タッキーが、泣き虫だってことを初めて知った。

 

 

泣きながら怒るうちの兄貴で見慣れていたが、まさかへらへらしたり、いじられる、大人が真剣に、さ。

身近にいる人が誰かの為に泣いて怒る姿に、戸惑う。

真面目に、熱くなる二人と違い、あまり、怒れない、と言うか。

 

『そんな、怒っても、どうにもならないじゃ無いですよ』

 

口が、勝手に言葉を押し出したら、

二人が同じ顔をして。

 

分かってる、わかっているけど、文句位言いたいんだ、と芳我は芳我らしく。

 

タッキーは、悔しいときは悔しがらないと、後から何度でも思い出して悔しく泣きたくなるぞ?と言った、が。

 

タッキー大人やん?と言ったら、

息が掛かる距離で、先生は。

結果はあるが、感情と、結果を飲み込むための理屈や現実は別物で。

 

頭でわかるだけじゃなく、

気持ちも納得するまで、愚痴ったり悲しんだり付き合ってあげないと、あとあといつまでも悲しい悔しい世界に引き戻されるんだ、と。

 

なんか熱い話の中身は全く分からないけど、お前は大丈夫か?悲しまなくて悔しがらなくて?と言ったそれは。

 

正直に出した方が楽だと、労わる先生の顔で。

分からないと言うも躊躇うし、真剣な心配顔されるのも心地悪くて。申し訳ないが茶化すことにする。

 

『わかったけど、さ。先生、鼻水垂れたその顔じゃさあ』

俺の声で、正気に戻った芳我が先生を指差し笑い出すと、いつもの、やらかした芳我を諌める部活の二人。

 

こっそり、こっちの空気がいいなあと思いつつ二人がひとしきり戯れ合うのを見て。

乾いていた喉に最初に注いだ生温かいジュースを流す。上手くない。

 

『美味しいかそれ?』

 

『飲んでみたら』

 

芳我も、水滴が落ち切ったグラスの中のジュースを飲んで。いけると言うと、メガネを外し顔拭くタッキーについで、素知らぬ顔で差し出したから。

 

『まずっ』

 

『そんな言っちゃダメだろ、せんせー』

 

先生は、また泣き上戸に入り。

焼きそば持ってきてくれたおっちゃんが、開けた襖を戻して、無言でお店に戻る。

足音すら消して。

 

 

何だかなく二人を

慣れた良く泣く兄貴の世話するようにしながら、二人と。

 

卒業までに、なんかしたい話をして別れた。

少なくとも、椎堂を一人にして卒業だけはしたくないよな、と言うのが一致したけど。

 

 

あまりに泣くから。

 

中身は別の日、別の部のやつも、入れて、再度仕切り直し、と言うわけ。

 

おやすみと手を降り別れた外は、残念ながら曇りで街灯がピンクにした空は、全く悲しみを誘わないはずが。

 

恥ずかしいが。

今更遅れて、悲しみが。

悔しさが。

 

とりあえず。拭える分、袖口で拭うと足早に帰ることにしたいが。

困る。キャラじゃ無いが。

視界がたわんでとても、自転車運転できない状況やん、まじか。

 

帰り着いたら戸を開けた先の兄貴に、驚かれ。また、夜が長く騒がしくなって少し。

 

落ち着いたからか、夢は見ず。

久しぶりに、朝が早く目覚めたが。

腫れた目、どうする?

ふと見た鏡のはしににやにやする兄貴を見つけて、握りしめた手に息吹き掛けると、慌てて引っ込んだ顔だが、残念、目は1ミリもどうにもならなそうだった。

 

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side C

 

顔に、悔しいとかいてあるぞ、と話しかけたらヨーヘイは。

当たり前だろうと、手を差し出す。

その手にアチアチな、ヨーヘイが苦手なホットレモンのペットボトルを渡したら、明らかに嫌って顔をしたが。

引き上げようとした僕の手を避けて急いで口をつけたから、ますます、泣き顔はひっどいものだった。

 

「すっぺーよ」

「嫌ならやめておけばいいじゃないですか」

 

大体人が少ない小遣いから、出した飲み物に

ケチつけつつも、飲むなんて。

今からでも返してくださいよ、と言うと。

冗談で、関接キスだぞ、と言う顔が全然、笑いも怒りも誘わない、悲しい人の姿だから。

 

笑えなくて。

笑えないけど。

 

気のいい先輩が笑わないのに戸惑う隙に奪い返して、しっかり仕返してホットレモン飲んでやった。

最後の一口以外。

 

だって、力一杯泣きぬれた体力使い切りの人からなんて、余裕で、逃げられる。

普段は無理でも。

 

「はい、お返しします」

「おう。え、ほぼ無いけど」

 

もうその、酸っぱい飲み物は役目を果たしたし。下手に中身があると、飲めと言われてまた困るだろうに。

 

後輩のささやかな気遣いにこの人は、気づいていない。今日も、じっと答えを待つ顔に、僕は説明をしてあげる。

 

「泣いたのホットレモンのせいにしてしまったらと思いまして」

「俺部の人に、ホットレモン弱いなんてバラしてないけど」

 

「だから、うっかり出くわして聞かれたらそのペットボトルと、俺の分のペットボトル持って、嫌がらせで飲まされたから泣いてるってでも、言うのはどうかなあと」

 

お前悪人なるぞと言う言い方に少し笑いながら。

ヨーヘイさん探しに部室前で、部の人に会ったから、より信憑性出ていいかもよ、と言添えたら。

ますます、俺にムッとしたらしいけど。

 

泣いたのバラします?との答えには断固拒否との事。そうでしょうとも。

 

「さあ帰りますよ」

街灯が付くから辛うじてアスファルトの紺色道がわかる程の暗がりになれば。

 

顔を見てわかる、そんな人は少ないし大体部活動ない、テスト休みの今日にぶらつく同じ学校のやつは、まあいないはずで。

 

そっとさいごまで、自宅まで送り。

僕も引き返して帰る。

 

先輩は、今日も気づかない。

僕が実は同じ種類のペットボトルを買った理由や、それを騒動に紛れてこっそり僕のとすり替えたことも。

 

気づかないから出来ること、側にいる権利をくれているけれど。

本当に、気づかないところが憎くて可愛くて、それが苦しいが。

 

まあ、これはこれ。

とりあえず一番、辛いとき励ますあれをやると、少なくとも前より仲良くなれるんでしょ?

 

明かりがない近道を走って。

急いで帰る。だって。

帰ったか?と、もう、ヨーヘイさんからメールが来てて。

帰ったって家からちゃんと言わないと。

また、可愛い気遣いから、送るの怒られて避けられるからな。

 

10年来の家鍵を出し、電気を付けると僕は。

帰りましたコールをして。

切る。

 

どうかヨーヘイさんが。

好きなだけこの後1人で泣けるように。

実はもう一つ仕組んだこと。

 

先輩のお母様と共謀して、炭酸系やレモン系ドリンクに、酢豚や、梅干しなど。

冷蔵庫は酸っぱいものしかない作戦をしたんだが。

 

そろそろ本格的に泣いているんじゃないか?

 

物の力を借りてでも。

悔しいって泣きたいって叫んでさ。

 

少なくとも中途半端に何しても哀しみを堪えた顔するくらいなら出し切るほうが、

いつものように笑う顔になる、と思うけど。

 

明日は、明日。

また、顔を見ながら帰りたいなと思いながら。渋々今日は1人ご飯をする。

 

何故なら、

ヨーヘイママの、酸っぱいご飯のおかずが、

共犯だからとある訳で。

2人は1人ご飯な僕を心配し、隙あらば差し入れ攻撃を、ある日は親ある日は子、でしてくれる。

 

だからこそ。

チンしたご飯は。

こう言う時のは、ヨーヘイ親子2人が居ないのに、いるようで。

なんか変に笑える。

 

さて。

ヨーヘイさん、ゆっくり、おやすみなさい。幸いに。

明日から部活なしのテスト間にある連休、休みなんだから。

テスト勉強、いつものように、教えてくれたら、嬉しいが。

明日の顔がまあ、どうなっているかそれも楽しみに。

 

おやすみなさい。

 

 

 

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side D

 

テスト終わりに椎堂を呼んで話を聞く。

で。上手く引き止めて学校から返さないこと。

 

これが、頼まれごと①。

 

テスト終わりで切りよく部活止める話はすでに聞いていたけど、再確認と言う口実で意思を確認しながら予定時刻まで引き留めるのだが。

 

まだ何か?と言う椎堂に、なんか先生らしく励ましの言葉を言おうとして、足止めしようとしていたが。

目の前の相手の顔から、唾が飛んだ。

汚ねえと、言いながら入り口をみたら、何を考えたか、俺が居た。

違う、俺の顔のお面を付けた部員たち数名がいて。

思わず吹いたら、椎堂に避けられ。

避けたばかりに部員に両側から腕を掴まれ連行される椎堂は。

ただ目を白黒させるばかりに俺を見るけど。

 

俺は関わってない設定だから、知らんて身振りをした。

「せんせー、何?これ何?」

「知らん。仲良しこよし学生同士でなんとかしろよ」

しつこくなんか言う、生徒の声は、聞こえないったら、聞こえないと、

俺は採点があると適当に理由付けて離れた。

 

 

後は奴らと。奴らが頑張って集めた人たちの出番。

 

その成行を。

この空き教室から、缶コーヒーと眺める。

一応顧問だから。一応色々許可得たし、トラブルするなと部員たちには言い聞かせたけれど。

果たして大丈夫かと思う瞬間に、戸の開く音。一瞬生徒かと身構えたが。違う。

 

「監督しないわけにはいかないか」

同じ学年担任持ちの香山先生は、何故かあたりめを持ち。

「なんだ、牛島先生、もかい。もの好きだね」

 

許可を得る先の1人だった、教頭の吉田義晴先生は、双眼鏡をいそいそとポーチから出しながら。

俺の側の席にそれぞれ座って観戦体制。

 

 

引退試合したいんす、先生』

 

そう言って。

他校の同じ部活仲間にに声かけて。

敵も手強いチーム、人数集めたら

俺らは、俺ら最後の最後まで椎堂と同じチームメイトとして、共に戦う試合をしたいと。

 

試合の場を設ける為に動いたのは、キャプテン以下全員の希望と、真摯な気持ちに大人が動かされた形。

 

 

在校生がほぼ帰り人気ないテスト終わりを、

上手く使い、説得したのは副キャプテンの八代。

 

後は試合後、いい年して送り出しの雰囲気作りね花吹雪の花の代わりに。

まさか米粒を撒く頼み②、これもこっそりとやれと頼まれたが。

見てわからんか、これコッソリ無理だろ。

そう言うもの、の押し切られたからあるそれら、手元にザルと米袋を見た先生2人はまじまじと見て。

 

 

理由を伝えたら。

 

「代わりに引き受けましょう」

と教頭先生、続いて牛島先生も。

代わりにやろうかとにやにや言った。

 

屋上から撒く?

木陰から撒く?などと楽しげに話しながら。

 

離れて行った2人を背に、また、俺は1人。

俺の教え子たちの試合を見守るために、姿勢を正す。

 

開始の審判の身振りそして。

さあ、試合の行方は?

 

 

 

-お仕舞い-

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今宵は少し話したい気分?

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#気持ちが、心がついてくるまでは

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躓きながらも、随分、遠くまできたものだと我ながら思う時ってあるよね。たまに。

 

うっかり寝不足頭で電車反対に乗り間違えたまではいいけどさ。

慌てて次乗ってしまった電車がこれまた反対方向で。

居眠りから目覚めて折り返し、乗ろうとは思ってみたものの。

 

電車、なんか遅れて遅れてての二時間後?

私が乗るかもしれなかった正しい目的地行きの電車は、事故で止まっているらしい。

 

中々踏んだり蹴ったりな気する、それを、丁寧な説明する優しい駅員さんに当たるわけにも行かないし。

 

駅員さんが復旧したら教えますと、言うし。

時間潰しに散歩されますか?

と。言うから。

することなしの私は、全く知らない海そばの駅の改札を出た。

 

 

諦めて出た田舎な街には、

やはり、教わった通り駅前すらコンビニない。お店は、喫茶店が、一つ。

時期ハズレだからか閉まっている海の家が数棟。

それだけ。

 

 

駅員さんに尋ねたら車で三十分先の、国道沿いにあるよ、と言われて。

え?徒歩で計算したら、一時間以上の距離を、歩くそんな元気があれば電車二回も乗り間違えない、つうの。

 

なんて。

 

 

通り過ぎるの農家さんと言う風貌の高齢の男性が運転してる、えらいスピード出てそうなトラックや、ワゴン車。

 

あとは無し。

 

バス停も、なんかないかとみたけど、一日大体16本、朝九時から夕方十六時までしかない。

観光地案内ポスターは、地元の人が、人気の京都や大阪や、東京など観光地へ行くためのしかなくて。

 

地元の案内は、駅前の周辺地図くらい。

 

これくらい人気がないと、ないで。

建物すら遮らない景色の良さが目に眩しい。

 

今朝にかけて夜通し働いた足で、住む街からいつもの、お楽しみ、ご褒美ホテルランチしたろーってかなり、気持ちを保って頑張ってみたのに。

何も、なきゃ何もできないそして。

電波、場所次第でアンテナなんとか2本立つくらい。

 

とは言え。

眠いけど寝たらダメ帰れなくなるし、

眠気覚ましの辛いガムも、今ので最後。

 

『とりあえず乾杯』

 

駅の自販機の、コーヒーは、幸い。

もうホットドリンクがあって。

小銭の範囲なら買えるし、公共トイレも、ある。

 

風が強くて、眠らずに済みそうだから、持ち金、スマホ持ちだから、まあ大丈夫。

なんとかなる、算段もしたら。

 

だんだん。

『あー疲れたな』

飲みながら、愚痴る。

 

鼻歌交じりに、飲んだ缶を手に歩いてみたり。砂山を作ってみたり。

砂に足首まで埋めてみたり。

 

訳も、理屈も、なしに、思いつく時間潰しをしていたら。

やり疲れた体が震えて、いや、心が折れたあの時の怒りが蘇り。

 

『バッカやろーーっ』

 

そう、あの時言いたいがどんどんと、口から吐き出される自分を。遠くで見る自分がいて、押しとめるはずのいつもも。

 

今日は散々だったじゃんと。

一緒に怒っていて。

ただ、強い風のなかで、話す、それが止めたいのに、語気荒く。

 

うっかり駅員さんに届いてしまったらしく。

 

『大丈夫ですかあ』

訛り混じりの顔を見て一気に身体が冷えた。

『ご、ごめんなさい』

『いや、やる事ないしさ、ほら風も強いからさ、中入る?』

 

駅員室は。

TVがあり、ベッドらしきものがあり、あとは山盛りの胡桃、殻付きの、段ボールが一箱やたらと主張するようにあり。

 

見ていたら、差し上げましょかと駅員さんは、恥ずかしげに。

実はまだもう一箱あるんだけど、ねえ?

1人じゃ食い切れないし、うちの母が送ったのに、間違えてまた送ってきちまったから、と。

 

電車待ち用の、普通の椅子を一脚中に持ち込んだそこに、座り。

人生初の胡桃を割る、はずが。

渡された10円玉じゃ、割れなくて。

 

『剥いたのあげましょうか、今からなら、また時間あるから少し持ち帰る分は剥けますし。まあまあ、遠慮せずにお茶を飲んで』

 

手が空いているからと、剥いてくれる人と。

何となくテレビを共に見ながら、会話しながら。

 

平和すぎて、優しすぎて。

なんか久しぶりにお茶をおかわりしながら、口以外の話をしている、自分。

 

ふと、駅員さんが。

おじさんと話すのは嫌だろうが、とか。

こんな若い子は、とか。

目を細めて褒めてくれる、こともこそばゆいけど、素直に嬉しくって。

 

電車が来るまでに、駅員さんの家族構成から、お子さんの好きな食べ物や、夏のこの駅の賑わいについて、色々聴いたけど。

『そういえば。お母様は今お元気なんですか』

 

最初の胡桃以降、全く話さないでいた事を話が途切れた所で尋ねたら。

 

『今は、居ないんです。いや。死んだんやなくて。実は、認知症って奴で。うろうろするお母さんと四六時中一緒に入れないからさー。だから施設に。』

 

『そうなんですね』

 

『本当は見てやりたいし、息子らにも、顔見せてやれと言うんだが、忙しいらしくて、それだけ申し訳ない気分でさ、だから。

返しゃいい胡桃二箱目も、受け取ってしまったんだー』

 

 

電車が来た。

予定より、三十分早く。

 

『野方さん、また来ていいですか?』

『何しに?』

『野方さんに会いに』

 

また、胡桃が持つ間にまた。そう言うと。

駅員さん——野方さんは。

 

またまた、と笑い飛ばそうとしたものの、固まって。そして。

『本気か?』

『ええ。私比嘉と言います。比嘉明美

そうだなとりあえず、連絡先教えて下さい』

 

押して聴いた電話番号に掛けたら。

 

『ではまた、来ます』

『んまあ。来るまで胡桃置いとくわ』

 

いや、減らすために来る予定なのに、私の為に置こうとするのを止める声を掛けたら。

 

発車ベル。

 

『また、おいでー』

手を振る駅員、野方さんはあっという間に消えて。

電車の外はひたすら海。砂浜と、鳥の声。

 

運転手さんの声がお詫び放送しているのを聞きながら、胡桃を齧る。

齧る。

寝ないように瞼を踏ん張らせて。

 

 

ヤー色々ありありだったけど。

まあ、こんな日の終わり方ならいい。

いや、また、起きるのは、要らないけど。

 

 

久しぶりに。

体が楽しく疲れて、たっぷり眠れそう。

悲しい苦しいが、ゼロになったみたい。

やっと心が身体と一緒に、怒って疲れて、私になった、そんな感じの。

疲れているはずの体が少し軽い。

 

 

何にせよ、今度こそ間違えずに帰り着くまでが、肝心、と気を張りたいとこなんだけど。やっぱり眠い。寝てしまいそう。

 

果たして、帰宅はあと何時間後?

自分の体力も、気力も、睡魔に負けそうっとすぐに。口一杯に胡桃を頬張ると。

 

硬っと。

出したら、殻の破片に。

また、駅員さんを思い出す。

 

 

.お仕舞い.?

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今宵話したい気分?

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#可笑しいのは誰?

 

「私はおかしいのかもしれない。」

 

と思ったのはいつからだったろう。

同じ話に言葉で返して、同じ笑い方。

やってみた、失敗した、あー言われた、あの人酷いって話の発言には。

 

いつもいつだって、

私も、そう思うと言う返しで。

うっかり私が私の意見で、反対したり、笑えないだけで。

水差した、冷たい人扱いされて。

 

女子のグループ摘み出された挙句。

体育の、2人でする柔軟体操から、班学習、グループ行動から修学旅行。

最後まで残されて、渋々先生に押し切られた人らが入れてくれる奴。

 

話を聞いて、答える答えが分かっていて。

うけこたえをしていても。

1人席を立ちトイレに行けば、その子の噂。

うっかり自分の悪口をきいたあと、気まずい顔されるのも、嫌だけど。

悪口じゃなく言われた通りでしょう?と同意を数の強さで頷かせて、噂話をした人が悪くない証明を、させられるのも、吐きそう。

 

悪気ない顔。

当たり前の顔。蛇口から捻る水や、鼻を噛むティッシュのように、軽く、傷つけてくる言葉は。

鈍器で叩かれてしまうくらい、痛いと言うのに。

 

言う人は私が間違いを指摘したら、認めないどころか、口答えたと、怒り出すくせに。

普段自分、撒き散らすのを気に求めないのか。

 

 

いつも、教室は、私には薄暗くて。

蛍光灯が付いていればいるほど人工的な、寒そうな空間で。

 

受け答えする言葉を使ってさえ、

みんなに受け入れてもらえる振る舞いをしたはずなのに、足元がおぼつかない。

ちゃんと、同意を得たのかも、私のいない所じゃ違うかもしれないし。

 

軽く出たクラスの人気者の気分の言葉に全てが左右され、明日。

 

今みんなが一番、嫌うあの子を、嫌う次の、

いじめの対象になるかもしれない。

と、日々恐れたまま、大人になってみたら。

 

やっぱり。

人が、勝手に。

私に優劣をつけて、私より、自分が正しいだの、嘘つくだの。

言わなくても、噂が量産されて。

 

黙ろうが、黙らないでも。

うるさい人は、うるさく、自分の素晴らしさ、正しさを主張している、その人の、賑やかしや、類似品として比較するために使われて。

 

うんざりする。

だけど。

 

 

テレビでは。

人権人権、他人を大切にと言ってみたり。

先生は、いじめはいけませんと言う綺麗事を言って、守る私、素晴らしい人も。

 

逆に現実的じゃなくて。

嘘過ぎて。

正論、だけど。私に合わない場面に合わない理想的机上の空論も、また、気持ち悪くて。

 

 

私はまた。

私がおかしいのかなあと思う。

 

中身のない言葉で、話さなければ。

話は早く気持ち通じていくし。 

綺麗なゴミない世界の理想が叶わなくても。

 

今私が目の前の飴ちゃんのゴミ、拾った分だけは、少なくとも、理想に近づく。

 

 

まさか、

世の人が、痩せたいと思ったら一秒で理想な己に、ならないなんて。

理想が、時間を必要として、すぐ叶わないなんてことも。

他人から痩せろが、皆痩せるわけでもなく、

言われたらやる、わけでもない話を。

 

知らないはずないのにね。

 

馴染めない私は。

やはり、おかしい?

だとしても、変えられないし、変わらないでしょうが。

 

それとも。

私以外の、同じ笑い方同じ話を飽きもせず。

繰り返せる貴方が、可笑しい?

 

その違和感が。生きづらくても。

生きるしかない、私たちに。

 

どうか少しでも、明るい希望と最期を、

神様お願い申し上げますと、祈りたい日もある夜に。

 

眠れないそれでも。

無理矢理明日のために目を閉じてみる。

 

-オシマイ-

 

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#誕生日おめでとう、でしたか?あの時は

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10分蝋燭なる、蝋燭を見つけて。

 

災害時ね、備えになる?なんて、しまい込んでいたそれを。

試しに耐熱皿に、灯して眺める。

一緒に備えていたマッチも、湿気ておらず、大丈夫だったが、恐る恐るした力加減が足らなくて。

 

かと思い力入れると、うっかり折れて。

三擦り目で火を灯す。

 

 

たまたま、年末に向けて掃除をしなくてはと、詰めただけのスペースから、出てきた、一時的に震災やら停電やら、ウィルス対策のシャットダウンやら、不安ばかりがニュースになる時期に。

 

買って安心するならと買った、蝋燭は。

同時期蓄えにした食べ物たちと違い賞味期限切れがなく。

奥の棚にしまい込んでいたのだけど。

 

気まぐれに。

「灯して見るか」

 

偶々TV売り場のCMが、クリスマスケーキの蝋燭を子供が吹き消す、そんな家族団欒を見たから。

灯して、眺める。

 

で、消えたらもう一回と、蝋燭を手にするのだけど。

なかなか。軸の紐?が下まで通り過ぎて、蝋部よりはみ出ていて。

ただ立てるとすぐ倒れ、上手く立たないものがあるのを、知って。

蝋燭立てって必要があるんだなぁと、しみじみ、数分かけようやく火がついた姿をただ眺める。

 

蝋燭と言えば。

ゆらゆらする炎は飽きないし、見たいのだが。

この匂い、溶ける匂い、が気になり。

2本灯して、消えた皿を眺めたまま、匂いにふける。

 

そう、悪い記憶じゃない。

懐かしい、多分、小学生になったばかりの、

最後の楽しかった誕生日の記憶が。

 

今の私には。

幸せすぎた記憶と、今の差に、寂しさしかくれなくて。

だから、自分気持ちもやもやと、したらしい。

 

 

幼稚園の頃、人気の魔法少女グッズを、貰い。

一日中光がチカチカし音楽が鳴るそれを、持ちながら、アニメで活躍する中学生と言う魔法少女の動作を真似て。

 

それを見る母が、演じる私を上手ね、なんてエプロンでてを拭きながらいた年と、

その次のお人形さんセットを貰った翌年までは、記憶があるから、多分。

私はその時欲しいものを貰ったんだろう。

 

クリスマスが、欲しい物をもらえる日ではなく、ビミョウな、伝記の本とか、多分デパートではなく近所の量販店の一着3500円くらいのトレーナーだの、可愛さじゃ無い服だの。

で、確か、プレゼントどうこうよりも、

仲良いふりして皆んなで集まる、自分の誕生日だの、上滑り張り切って作った母の料理だけで、より、物悲しい食事だの。

 

そして、最後は、誰とも過ごさない日になっていったから。

 

あまり。

蝋燭も、今思えば、生クリームのケーキが苦手なのも、その辺りに原因があるのかもしれないが。

 

「今更よね」

 

クリスマスケーキを思うと、誕生日についても、同じ年くらいに、楽しい時間になることを諦めた、あの頃は。

 

クラスメイトを誕生日会に呼べないとか

クラスメイトの誕生日会に呼ばれないことが、友人関係を左右して。

 

友人を呼んで誕生日会呼べない私に、お誘いもなく。

 

クリスマスみんながプレゼント交換の話をしながら横を歩き去るのを聴きながら。

寂しく無いふりを良くしたけど。

 

ありがたいことに、年が行けば。

祝う物感が、減る。

普通の世の人も、歳をとるのが一番嫌な時期が来て。

 

誰かといたら気にされるけど。

私一人でいたら、黙っていたら、いつ誕生日かすら分からない。

分かって、スルーされても、だし。

知った上で祝って頂く、その時どんな顔をしたらいいか、いまいちわからない。

 

 

燃え滓を見ればまた嫌な気分が盛り上がるから、流しで洗いながら。

ふと、考える。

 

 

今は昔、だけど。

確かにあの時私は祝福されていたんだよなあって。

 

思い出しても、全く現実味が無い、

TV画面の中の、幸せな光景を、外から眺める気持ちになる、それは。

 

——あったから、悲しくて。

——ないから悲しい。

 

なんか鼻だか胸だか、目だかに。

込み上げ出来そうなその、理由、感情の味が感じたくなくて。

 

蛇口を思い切り捻り、音を立てて皿を擦り、

何度も何度も裏表ながして。

ぴっぴっぴっと水を切ったら。

 

「はい、お終い」

 

とりあえず。

気持ちは先延ばしにして、お気に入りの、

アップテンポな曲に合わせて。

ついでに流しを磨いて。

掃除して。

 

 

大丈夫。

悲しくても、いっときだし。

悲しいままでも、生きてはいける。

 

いつか忘れてしまうまで。

出たら奥に詰め直しても。

ひっぱりだして、痛みをわざわざ感じに行っても、いい。

 

 

直して、なんて出来ないし。

いつも、楽しくなんてない。

だけど。

 

笑える力が、あれば?ギリギリ。

死に損ないな心はいつも、立て直せる。

 

そうでしょ?

と、言い聞かせている私はまだ、まだ、人生に期待をしたいらしい。

 

 

 

-お仕舞い-

 

 

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今宵話したい気分?

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#生死(いきしに)のために縋り付く夢は。

storyteller  by  Tukimi©︎

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夢は楽しいもの、

叶えるためにみるもの、だってさ。

無邪気に思っていたけど。

 

まさか。

生き続けるために見ずにはいられなない、命繋ぐ様に、無様に見る、明るさや楽しさのない夢を、見るなんて。

 

夢に縋らないと生きられない、なんて。

そんな悲しい未来を、私は知らない。

 

 

 

変わっている、人だなあって思って気にし始めたあの人が。みんなに優しいあの人が。

 

過去を償うために生きて、許されないままに生きるんだと、知って。

それなりのことをしてしまったと悔いたその人が、自分が犯した犯罪の被害者の、身内から、命を奪われて。

 

ニュースになって。

罪を、恨んだ青年も、悪名として、これから先肩身狭く生きる、だろうし。

あの人の話の、内容が、どのテレビ番組でも、全く同じに、同じ意見をコメントとして

『犯罪は犯罪を生みますね』とか、『被害者が犯罪者だったなら、恨む気持ちもわかりますが、殺害するなんて怖いですね』だとか。

 

でも。

 

だけど、受けた凶行に。

多分彼、青年は、傷付けたいぐらいで殺す気なんて無かっただろうとか。

でも、その刃物を持つ青年に、体の急所を向けて、最期あの人がありがとうと言って、亡くなるとか。

 

見た私が知るそれは、きっと。

載らない、根拠の出せない、大したことにされない、感覚で。

 

あの人へ青年が悪意を抱いた理由は必要でも、犯罪者に、故意が作為か。

そして、犯罪者が2人の場合、どちらがどう思うかより、やった、やられたしか、あまり気にしなくても良いと、思うのか。

 

 

あの人に、初めて怒鳴られて。

その場を離れてと。

でも、戻って来て。パニックな青年の話を共にいて通訳するかに、通報電話して。

 

あの人が描いたように、私は無関係、にはならず。事情聴取を受け。

 

今は何処で聞いたか知らないが。

自宅の戸の向こうのガヤガヤとインターホンの連打から逃げたくて布団を被る。

 

いったい。

犯罪者だった人、犯罪を犯した人、そして、通報した私。

 

それぞれ、したことに注意を受け罰を受ける、ことはわかるけど。

まさか。自分がこんな風に巻き込まれたら。

 

真実を知らせると言う、正義の味方のふりをした、蝿みたいに寄って、眠りすら休みすらくれない、罪を犯さなかった青年とか、関係者となった人の。

すでに大ショックな死にたくなる心をギリギリまで追い詰めたのは。

 

マスコミ、だったり?して。と。

 

夢は楽しくみる、ものだと思っていた。

まさか。

断罪されたくて、でも死ねないからと、生きながら、死を夢みたり。

 

失った人の姿形、追いかけ、夢でなら会えるその人を見たいと、縋り付くほど見たい夢を望む人がいて。

 

まさか、私も。

失うことの瞬間の、死の光景が再生されて。見たくない、夢しか再生されなくて。

 

夢を見たくなくて眠れない日が、来るなんて。

 

 

親子連れが、子供に。

何になりたい、と聞くその時。

 

明日死なない前提の、命の心配ない世界の上で、お金を心配せず。

呑気に、花屋さんになりたいと言うその姿が。

 

懐かしくて、羨ましくて。

ずるく見えるのは、持つ人がいたそれを持たずに、中学生からバイト掛け持ちしながら働いた、自分とはちがい恵まれていて。

 

それを、気づかないで良い幸せに、いるから。

ずるい、だけど。

できればこちらに来ないでそのまま。

幸せだけ吸って生きてよ、と。

 

私は道を変え。

視界から2人を離して実家に帰る。

賑やかすぎる周囲も、あの人との、過ごした濃い時間が残る景色も、捨てて。

 

-お仕舞い-

 

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