【創作小説】#居る理由なんていらない君との関係【storyteller by Tukimi©︎】

 

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【イラスト✖️創作小説】

 

#居る理由なんていらない君との関係

 

storyteller  by  Tukimi©︎

※小説家を目指してオリジナルお話を執筆し

ています。

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見たら分かるさ。

蜜柑汁で指を濡らしてさ。片手に蜜柑。

匂いも蜜柑。どっからどう見ても、

何個食べたんだこいつ状態に見える。

 

 

 

 

 

見たら分かることを、わざわざ教えてくれるひとがいる。

 

聞いてない、お尋ねしたいのはそこじゃないです、奥さんみたいな、刑事ドラマの刑事さんの気分、こんな感じ?

 

 

目の前のこいつも、そうだ。

蜜柑を食いながらこたつに入って、分厚い半纏まで着て、ぬくぬく、正月特番を見ている、姿。

目が合ったと思えば、蜜柑?みかん食ってる、食いたいか、蜜柑?とこう言うわけで。

 

いや、蜜柑食ってんのは、花型に剥かれた皮と、持っている、一房で、分かる。

いやいや、俺が聞きたいのはさ。

 

『なんで、居る?』

 

食べ物を買ってに食べている、こいつは。

妹たちに、剥かれたみかんを手渡され、お気に入りの毛布をかけて貰って。

 

向こうの石油ストーブに、お汁粉入りの鍋を置いたばあちゃんが、餅何個食べるの?なんて声張り上げるのに、大声で三つお願いします!と言うのを見て。

 

続いて俺の食べる餅の数を聞くばあちゃんに、俺も3個、と答えて。

 

おや待て待てと再度、目の前のやつに尋ね直す。

 

「なんで居るんだ。」

「貴子さんが、いらっしゃいと」

 

「おかん、が。じゃなくて、なんでのこのこ、俺今日部活行くからって言っておいたじゃん、忘年会、行かないかって言うの断ったくせに」

 

「やだよーもう、面倒臭いだろ。一緒に写真撮ってだの、歌えだの、したくも無い肩組まされたりするじゃん。だいたい、俺部員でもないのに」

 

「頼まれたから声掛けたんだ。文句はうちの部長に言えよ、言えるなら」

 

「言えないからお前に断ったしお前んち行くって言ったら玉置部長に来てまで呼ばれそうだから言わなかったんだよ、分かるだろ」

 

「バレたら俺が玉置部長にネチネチ言われるっての。黙ってろよ、今日ここにいるの」

 

「大丈夫。誰にも言わない」

 

はあ、嘆息。

断ったコイツを連れて来れなくて。

部長からネチネチ嫌味を言われたのだが。

 

これがバレたら女子の怨みを買う、桑原桑原、じゃなくて。

話が逸れたが。

俺が言いたいのは、だ。

 

家主、じゃない、友達の俺がいない、家に普通に約束なく居るのがおかしいと言うのに、どうして気がつかないのだろうか。

 

何度も確認して、話を聞く中で玄関扉が盛大に開いて閉まる。

「たっ、だいっまー、薫くん来てる?寒くない?」

 

「おかん、俺は?」

俺をどかして薫の顔を見たら、さあ、おせちすんぞーと、台所。

入れ替わりにばあちゃんが、お汁粉を俺と薫と、妹二人の、お椀四つ。

ばあちゃんは、私もおせちしてくると去り。

 

妹二人が薫の隣の席を争うのを、納める役なし。しばしきゃんぎゃん言う奴らに俺が話しかけようものなら、逆切れされるか。

 

 

「何、兄ちゃんも薫くんの隣がいいの?」

 

これだからもう碌なことがない。

 

なんも言っていない、自分見ていただけですら妹たちは。

BL漫画の読み過ぎなのか。

 

 

冷やかすようににやにや笑いで見て、羨ましいだろうと、これ見よがしに薫の腕に引っ付いてみせるが。

 

俺が心配しているのは、そこじゃない。

言いたいことも、そこじゃない。

 

で、きっと自分がおかしいみたいに、なるのを嫌がる、気にする俺が心狭い奴みたいに、なる、空気にまた負けて。

 

彼、向田薫が、ここに居るをなし崩しに許す、ああ、毎日毎日。

年末すらも、また負けだ。

 

 

年末どころかいつも、いない彼の両親。

お金嫌いなくせに、困っていないらしい、金銭。

 

一人暮らし。

 

聴けば教えてくれるかもしれない、謎を。

知っているのは、多分クラスで俺だけ。

母親がわりに面談に来る人が家政婦さん、だと言うことからしておかしいのだが。

 

たまたま、知ってしまったのだから仕方がない。

彼が、自分から俺に言ってしまって。

母に俺が話して。

 

でも。

 

やっと顔ふっくらしてきたと。

いつぞ、母親が彼が帰った後漏らした一言から。

 

俺もつい、彼が普通に見せた頑張りの下の、無理している姿を気にするようになり。

 

 

まさかの、ほぼウチの子状態。

 

黙っていたら飛んできたみかん。

「恋煩いか?んん?」

曇りなくニヤニヤした薫に。

 

「食べ物投げんなっ」

 

まあ、いいさ。

他所での人気な薫が。

外面完璧を保つ一方で。

 

うちでどんだけダラダラして、かつ泊まった翌朝は。

俺のスウェットきてひっどい寝癖つきだろうとも。

 

他の奴らに見える分格好つける元気、さえない、ひでぇ顔だけは、もうさせたくないから。

 

笑う本人に、炬燵の中で脛蹴ってやると。

「「コラっ」」

ばあちゃんと、おかんの二重奏。

 

何て理不尽。

顔が良いからってさ。

 

妹二人が、奴の両脇から紅白に出る歌手の話をして見ようと言い合う。

おかん、ばあちゃんも炬燵に。

 

さて。

年の瀬。

残念だなあーおとん。出張先で仕事なんて。

薫に帰って来たら一緒に初釣り行きますよ、なんて慰められて、渋々仕事に向かったけど。

 

今頃。

悔しがっているんだろうと思えば。

ふとイタズラ心が。

「薫、写真取ろうぜ。おとんに送る」

 

早々撮って離れたら、他の家族も奴と撮ると、しっちゃかめっちゃか。

女たちに囲まれて、助けての、その中心の奴の目は無視。

 

さっさと、手ブレ酷いけど送る。

 

 

かあさんも、送ろっと言うのが聞こえ。

ツーショット撮れた人からおとんに送る送信音。

次々送られてしまったおとんはきっと。

 

「もしもし、薫に変わってよ、ケイ」

「はいはい、薫?おとんから、ラブコール❤️

「恵一さん?あ、もしもし変わりました、薫です——はい、はいそう、そう——え、今日はお邪魔してます、はい……

 

雪が降って来た。

今までで一番騒がしい、大晦日の夜。

 

 

もし、一人に薫していたら、なんて。

怖いもしもは、捨て。

俺も、薫に負けず楽しまなくては。

 

-お仕舞い-

 

この話はフィクションです。

 

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【今宵の独り言】

 

書いた話ですが、

勿論フィクション。

あくまでインスピレーション。

 

舞台も、設定も。

別世界の、同じ名前で呼ばれる名前として、

現実との違いはあくまで作り物として、受け取って頂けたら幸いです。

 

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さて。

出来る奴、出来が違うから?

 

そういえば、自分が出来ていない事は出来のせいで、努力不足のせいではないと、現実を誤魔化せる、と思うのでしょうか。

 

それは違う。

 

出来る人の顔は、出来ていないと生きられない環境だったからと言う事がありますよね。

 

いつも緊張する人、

弱音を出せない人、そんな頑張らなくてはいけない場所にいる人にも。

 

せめて、

出来る顔維持——が出来るくらい、の平和や安心時間が。

 

外に出る自分以外の場所にあるように、この場でこっそりお祈り申し上げます。 

 

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